町家の軒下に取り付けられた縁台で、夜間や使わない時には引き上げて収納できるようになっています。「揚見世(あげみせ)」とも言います。
本来の使用法は、商品を陳列して売るための棚ですが、床机は持ち運びができる折り畳み式の椅子のことですから、座るのにもつかわれていたのでしょう。
関宿に残る“ばったり”も数が少なくなっていて、今では2例ほどなのですが、以前はもっとたくさんの“ばったり”がありました。まちが静かになり、店舗そのものが減ったことで、商品を軒先に並べること自体がなくなってしまったこと。さらには、重くて上げ下げが大変であることなどから、破損が進んだ段階で取り外されていったのでしょう。
“ばったり”は、座面と足とでできており、座面を建物についた蝶番(ちょうつがい・ちょうばん)を支点にして持ち上げると、足が自動的に座面の裏側に収納される仕組みになっており、柱などにつけられた金具で座面を止めて収納します。
逆に下す時には、金具を外せば座面を倒すにしたがって足が自動的におりてきます。“ばったり”の名は、足を下す時の音から付いたと言われています。
金具の蝶番は、柱に付けられた木製の“軸受(じくうけ)”の場合もあります。また、自動的に足が下りる構造から、地面の足が下りる位置に石が埋められていることもあります。
柱や犬走を注意深く見ていると、蝶番や軸受、足を乗せる石などが残っていることがあり、以前はばったり床机があったのだとわかります。
数が少なくなっています。破損しないように大切に扱ってください。
※この場所に行き、実際に見るためのヒント
●写真は「関まちなみ資料館」にあるものです。
●“ばったり”は外からでも見ることができますが、ぜひ資料館の中もご覧ください(有料)。
●関まちなみ資料館へは、関宿観光また、“関宿”についての疑問、ブログで取り上げてほしい内容などありましたらお送りください。調査の上、できうる限り記事として反映させていただきます。駐車場から歩いて10分ほど。
※参考にさせていただいた本など
『関宿 伝統的建造物群保存地区調査報告』昭和56年/三重県鈴鹿郡関町
『東海道五十三次関宿 重伝建選定30周年記念誌 -まちを活かし、まちに生きる-』平成27年/亀山市