田舎暮らしの買物実態
- By: 関宿まちなみ研究所
- カテゴリー: ”関宿”まちなみ暮らし
- Tags: 田舎暮らし, 買物, 関宿
今はと言えば全く不自由はない
最初に結論を言ってしまえば、「買物に不自由を感じることは全くない。」というのが私の今の買物実態だ。
田舎暮らしとは言っても、私が暮らしているような古いまちなみの多くは、昔は結構な町場だったところが多く、まちなみ沿いに古くからの商店があって、長い付き合いをしてきている。
それに、車で10分以内の距離にいくつかのスーパーマーケットがあり、さらに20分も走れば大型のショッピングセンターに行くことができる。ショッピングセンターの近くにはホームセンターや服の量販店などもあるので、これらを主に利用している。
さらに、最近のネットショッピングは、便利さだけで考えればスーパーマーケットやショッピングセンター以上で、商品は豊富。決済はクレジットカード。早ければ翌日には納入されるとなれば、不自由なところなど全くないと言ってもいい状況だ。
特に、私のように自宅で仕事をしていると、忙しい時に限って必要な事務用品がなくなってしまうということが良くある。1日2日待ちさえすれば、忙しい時に買い物に出る面倒から解放されるだけで、極めてありがたいことだ。
当ブログのサイドバーでネットショッピングサイトを紹介しているのもそんなご恩があるからだ。
しかし、10年後を考えると・・・・
しかし、これから10年先、20年先を考えると、今の便利さが逆に仇となるのではと思うことがある。
少なくともスーパーマーケットやショッピングセンターに買い物に行く機会が減っていることは確実だろう。それでも、ネットショッピングはなくなってはいないだろうし、市内のスーパーマーケットには配達サービスを便利にやってくれるところもあるので、買い物自体が不便になることはないのかもしれない。しかし、家族でのお出かけ、ウインドウショッピングで体を動かしたり、出会った友人と世間話に興じたりといった副次的な楽しみは期待できなくなるのかもしれない。
そんなことを感じるのも、近所のお年寄りがそうしたことを実際に嘆いているからだ。関宿では過疎化はそうは極端に進んではいないものの高齢化は深刻で、それも独居のお年寄りが増えている。10年度は今以上に年寄りの車の運転が難しい時代になっているかもしれない(この点では自動運転に期待するところ大だ)。自分も歳をとる。そうなった時どうすればいいんだろうと、ちょっと不安になるのだ。
よくよく考えてみれば、10~20年程前にさかのぼってみると、関宿のまちなみには生鮮食料品屋、荒物屋、本屋、米屋、酒屋、電器屋、和菓子屋、駄菓子屋、桶屋、蕎麦屋、定食屋、呉服屋、服屋、寝具店などなど、実にたくさんの店があった。もちろん現在でも営業を続けてくれている店がたくさんあるのだが、私の買物が便利になっていくのとは正反対に、付き合いのあった商店がどんどん廃業してしまっている。
商店にも事情はある。大型のショッピングセンターに押されてそもそも個別商店の経営が苦しいところに加え、将来的な展望を考えると子どもたちに跡を継がせることを断念して、これまでの長いお付き合いから「自分ができる間だけは」と頑張っているというのだ。実際、商店主自体がかなり高齢化してしまっている。
観光地化は活路になるか?
そんなことを都会暮らしの友人に話すと、「関宿は観光地なんだから、観光客向けの店を増やせばいいじゃないか」「観光客の皆さんに買っていただけるものを扱いながら、地元の人が買えるものも同時に扱えばいいんだよ。」「今の観光客は、地元の人が買うようなものや商店主とのふれあいをこそ求めているんじゃないかな。」と。
確かに、古いまちなみは観光地でもあるので、観光客の方はたくさん来ていただいている。観光客の皆さんからは、「土産物が買えるところが少ない」とか、「素敵なカフェ」があったらいいのに、との声も多い。昔からまちなみにある店の中には、観光でこれらた方々とベストマッチしている店も実際にあるので、その分野には可能性があるのかもしれない。
しかし、こうした観光で来られた皆さんの志向と、ここに生活している我々の志向は、果たして一致するのだろうか。もし一致するのであれば、確かに理想的な話ではあるのかもしれない。古いまちなみがショッピングモールのようになって賑わう。そんな姿を想像できなくもないが、今まちなみに住む私たちや商店が抱えている問題とはちょっとかけ離れすぎているように感じる。
長い付き合いでいながら便利さから外に買い物に出ていた自分に、少々後ろめたさを感じながら町の商店を“ひいき目”に見ると、「生活必需品を商う商店は、生活基盤、インフラと言ってもいいんじゃないか。」とか、「いや、ひょっとすると福祉事業にもあたるんじゃないか。」なんてことや、大手ショッピングサイトが田舎町の小さな商店と提携して「御用聞きサービス」でも始めてくれないか、とか考えたりするのだ。
だけど私が思いつくことなんて、すでに誰かは考えられているもんだ。大手通販会社等では対面での「御用聞きサービス」に注目し、取り組み出しているらしい。ビジネスモデルとして成り立つかもしれないのだ。
これはしっかりと調べておく必要がありそうだ。10年後の私の買物事情を見越して。